オーパーツとしての IE6

歴史は正しく評価されないとならない。現在進行形ではなくなった今なら、感情的にならずに IE6 を正しく評価できると思う。

第二次ブラウザ戦争以降、 IE は 11 を発表した現在に至ってもなお評判が悪い。IE6 で損なった評価と IE7 IE8 の失望が尾をひき、IE9 が Windows XP を切り捨てたため IE8 は高いシェアを誇り、そのため国際的に見た一部地域(日本など)でのモダンブラウザへの移行の圧倒的な遅延(これは単に他のブラウザを使えばよいだけなので啓蒙の問題であって IE の問題ではないのだけれど)。

今や IE はレガシーブラウザの代名詞という状況になっている。

ましてや IE6 なんて!

けれどもそれはほんとうだろうか、IE6 に先行実装されていたコンセプトは、HTML5 で標準に成った。独自実装による混乱を招いたと悪名高いそれも、標準の無かった時代の実験的な機能が、現在の Web をかたちづくる礎になったとも考えられる。

IE6。正式名称 Microsoft Internet Explorer 6 は 2001 年 8 月 27 日に公開され、サポートは 2010 年 7 月 13 日に終了している。ちなみ IE7 も既にサポートは終了しているため、いわゆるゼロデイ攻撃、既知の脆弱性にたいして無防備であるので、非常に危険なブラウザになっている。また Windows XP は 2014 年 4 月 9 日にサポートが終了。事実上 IE8 のサポートも終了すると考えられるためこれ以降は IE8 の危険性も増大する。

つまりこの記事はもちろん IE6 を擁護しようというわけでもなく、ましてや再利用しようなんていうとんでもないはなしではない。誰もがなるべくはやく、自分自身と自分以外のひとを守るために、常に最新のブラウザを使うことが正しい選択だというのは間違いない。

さておき IE6 のはなしに戻る。

では実際に IE6 に独自実装されていた技術と現在の標準を並べてみよう。

IE6 の独自実装
(IE6 は 2001 年公開)
備考 標準化された仕様 備考
VML(Vector Markup Language) 1998 年に W3C に提出されるも標準ならず SVG(Scalable Vector Graphics) 2001 年 9 月 4 日 SVG 1.0 W3C 勧告
Microsoft.XMLHTTP ActiveX オブジェクトとして実装 XMLHttpRequest W3C 標準
CSS2 IE6 は CSS1 準拠なので CSS2 は独自拡張。
2001 年の時点ではテーブルレイアウトがデファクトだったにもかかわらず。
ちなみに CSS2.1 の勧告は 2011 年 6 月。

とりあえず思いつくだけでも上記の三つがある。ちなみに VML は Canvas のポリフィルとしても使用される場合がある(文字の書き出しができない等、差異はあるので実用するのはリスクが高いが)。

これらは今の Web にとって必須といっていいもののばかりではあるものの、IE6 は全盛期にはシェアをほぼ独占していたが、一部のマニア的な使用しかされなかった。

こうしてみると IE6 の開発チームの先見性とチャレンジ精神には驚かされる。そうして Ajax などが流行するには、この IE6 の独自実装があってこそだといえる(実際 XMLHttpRequest も Microsoft.XMLHTTP のコンセプトを標準化したもの)。

IE6 は様々な功罪があり、功績も大きい。けれどマイクロソフトが IE の新規開発を凍結したため、その罪ばかりが目につくようになってしまった。十年もたてばブラウザとしては死に体なのに、血気盛んなモダンブラウザたちと比べられ、文句ばかり言われた。さぞ辛かったことだろう。

歴史を裁くのは愚者の行為だと言われる。十年以上前のブラウザを今のブラウザと比べること自体間違っている。悪いのは IE6 を使い続けるユーザを残し、産み出し、危険極まりないブラウザをサポートしようとするビジネスであって IE6 じゃあない。

さよなら IE6。ありがとう IE6。君の事はもう思い出したくはないけれど、きっとみんな忘れない。

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