汚れ方のデザイン

リアルのものは時間と共に劣化して汚れる。

だから製品には賞味期限があったり、消耗品の取替時期が記載してあったり、あるいは買替時期の目安のあるものもある。

賞味期限や消耗品の取替のサインは、時間に対するデザインだといえる。

ところが物理的消耗のないコンピュータのアプリケーションや Web サイトなんかは、買替時期が明確ではないし、用を成していればリアルの製品だって期間を過ぎた消耗品を使用しつづける。

けれどこの時間による劣化という概念モデルは人間に染み付いているらしく、単にスキンのデザインが古くなったとか、あるいは新しい機能の追加されたモダンな製品がでたという理由だけで、買換えるひとも多数いる。

そういった主観的な問題は別としても、ビットは劣化しないからといって Web サイトは汚れないんだろうか。

生肉なら腐っていれば臭いで分かる。物理的な消耗は目にも明らかなことが多く、包丁なんかは切れ味が悪くなるので、必然的に研ぐという行為を迫られる。

けれど Web サイトの汚れ、つまり情報の劣化の恐ろしいのは、むしろ劣化したということが分からない点にある。以前古いニュースが現在のものと誤解され、混乱が起きるという事件もあった。そのサイトには確か単に日付がないということで誤解が生じたのだったと思う。

他にも情報の汚れとしては、今までは時系列でアーカイブされていたものが、拡張ではなく突然全く別の次元で表現されはじめ、過去の情報との関係が断ち切られる等、いくらでも上げられる。

ビットは確かに劣化はしないのかもしれないけれど、ビットによって表現されたものは、リアルと同じように産まれた瞬間から劣化を始め、少しずつ汚れていく。

汚れないものを汚すデザイン。汚され方を制限するデザイン。汚れ方のデザインにはどんな方法が最適なんだろう。

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